本来、暇な時間にゆったりと行う刺繡や編み物。こういった作業にインドの女性たちの熟練した技術を取り入れることが、GANとコラボレーションする一流のデザイナーたちの創造性をかき立てるきっかけとなりました。

GANの生産システムは地域の経済的な発展をサポートするだけでなく、文化的な伝統を保存し、それを更に成長させ、そして新たな価値を与えます。職人たちの技術は進化するのと同時に現代的なデザインにおける道標を作り出します。

手編みのような従来からある技術をこれまでとは違った新たな形で取り入れることで、GANの製品は現代的なデザインと融合し、他に類を見ないものとなり、職人技や前衛的な産業デザイン、社会的環境的活動が集約された、これまでにない道筋を切り開きます。そのいい例がClaire-Anne O’BriengaデザインしたKNITTED STOOLSで、昔ながらの手編みで筒状に編まれたカラフルなウールを使い、アッシュをベースにしたふわふわな椅子に仕上がっています。

一方、刺繡やニードルポイント、クロスステッチ、チェーンステッチなどを用いて作られているのがCharlotte LancelotデザインのSILAÏ、CANEVAS、CHADDAR、Neri ＆HuのLAN、Patricia UrquiolaのBANDASです。これらはGAN Women’s Unitの職人たちが作り上げた作品で、彼女たちは普段家庭でも同じように刺繡をしていますが、唯一家での作業と違うのは、GANではカーペットやスツールを作っているので家庭で作っているものとは使う素材が違うのとサイズがかなり大きいということです。

また、新たな素材を用いてこれまでとは違った形や風合いを作り出すことでGANは新たな道を切り開いています。その一例として挙げられるのはUrquiolaデザインのNUANCESで、廃棄するウールをリサイクルしたフェルトのチップボードを手で縫い合わせてカーペットやスツールを作りました。このサスティナブルなフェルトは様々なウールが混ざってナチュラルな風合いです。
このように本来廃棄されるはずのものが素材としてよみがえることで経済が循環していくことをSANCALは重視しています。

ハンドノッテッド（Hand-knotted）は最も古い製法のひとつで、手作業で縦糸にしっかりとウールを結びつけて織っていきます。結び目の数が多いほど模様が鮮明で丈夫な仕上がりになり、カーペットの価値も上がります。Patricia UrquiolaデザインのMIRAGEはこの製法で織られていますが、技術的に非常に複雑な作りで、カラーバリエーションや非常に細かいデザインを生み出すのには時間がかかる上に高度な技術を習得したエキスパートの技が必要です。

その他に、GANのカタログではおなじみですが古い歴史ある製法としてはキリムとダーリがあります。これらはジュートやコットンなどの天然繊維で織られていて、薄くて毛足や結び目がありません。これは室内装飾用品に使用される生地の織り方とよく似た製法で、Inma BermúdezデザインのROOTSはこの製法で織られています。

手動の織機を使った製法は薄手のカーペットから厚みのあるものまで幅広いデザインのラグを作ることができます。Patricia UrquiolaのORIGINAL MANGAはその一つの例で、バージンウールの様々な風合いや特質を組み合わせた、手編みのセーターのような温かみやボリュームからヒントを得たデザインです。

GANの最新コレクションのひとつであるPLASTIC RIVERSは、職人の技術や環境に対してのGANDIABLASCO社の社会的責任を体現した作品です。
このラグは、世界で一番汚れた川であるガンジス河で回収されたペットボトルを再生した繊維で作られています。全て職人たちがハンドタフテッド（Hand-Tufted）で作っているので機械は必要なく、エネルギーの排出もありません。

職人たちの素晴らしい働きとGANのこだわりによって、リサイクル素材やウール、ジュート、コットンなどの最高品質の天然繊維を原材料として、古くからの文化に根差した技術が守られ、再生され、再び取り入れられてラグが作られています。こうしてできあがるのが、時間をかけて美しさと価値が増した真の贅沢な作品である手織りのカーペットです。その手触りや形、ボリュームは、GANのエッセンスと存在理由を作り上げる職人技の秘密によって生み出されるのです。